建物や土地選び、建築の時の気をつけたい事など、
建築士、宅建士、大工が、住まいづくりの身近な情報をお届けします。
「住宅の取得には、建物にかかる費用とは別に、その1割程度の諸経費が必要です。購入にあたって、全体の2割ほどの頭金は準備したいものです。」
住宅ローンを組む場合、自己の返済能力をきちんと把握し、生活に負担がかからないようにすることが大切。
「借入可能額は、返済可能額・期間・金利から決まります。返済の目安は年収の25%まで。月収で考えた場合、手取りの30%を超えると負担が苦しくなります」
住宅ローンは、これまで住宅金融支援機構の商品が主でしたが、民間の金融機関の変動金利型や、民間と機構が提携した長期固定金利型など、様々なものが出ています。
返済は長期にわたる一方、教育費や老後の蓄えのことも心配。金利が上昇傾向にあることを考えながら、複数のローンを比較して自分にあったものを選びましょう。
「布基礎」は、地耐力(地盤の強さ)が1平方メートルあたり3トン以上の比較的良好な地盤に施工。断面が逆T字型の”ローソク基礎”と呼ばれる部材が配置されたものです。
一方、「べた基礎」は、建物の底面全体を鉄筋コンクリートで支える強固な造り。盛り土をした造成地や地耐力2~3トンの軟弱地盤では、極力べた基礎を採用したいものです。建物の防湿性・防蟻性の面からも高い効果が考えられます。
基礎工事に欠陥があると、長い間に建物の重さや地震などの力が加わって徐々に家のあちこちに亀裂が生じるケースが多く見られます。
施工時には、
①基礎の寸法や鉄筋の配置は図面通りか、被覆は十分か
②ボルトの長さ、配置に支障ないか
③”養生”期間
をチェックするとよいでしょう。
造成された宅地に新築、従来の建物の増改築など、さまざまな形で建築工事が行われますが、一見してわかりにくいのが地盤の強さ、つまり地耐力です。付近の状況から農地などの場合は盛土の判断は出来ますが、支持力の深さは不明です。
特に、団地等の造成地は全てが地山(切り土)とは限りません。現況では従来の形状が不明な場合が多く、最も気配りをする必要があります。
まず、地盤の強さを地耐力調査のデータをもとに現地で確認することが必要。データが悪かった場合は、地盤改良工事を施工することになります。
これは、軟弱な地盤を堅固なものに変える工事で、一般的に表層改良や柱状改良などの工法があります。対象となる地盤の深さや隣地との状況、さらに計画建物の重さによって改良工事の選択をしなければなりません。
建て替えの場合によく言われる「今の家が大丈夫だから、今度の家も大丈夫」は絶対に禁物です。
契約は簡単に言うと「取り引き上の合意を残す」ということ。
後日のトラブルに備え、できる限り書類に残すのが懸命。お互い同じ書類に目を通し内容に問題ないと確認できた場合に「約束を守る」証として自筆サインし、互いが保管するのが基本形です。口約束では後日問題が起きても第三者には全く判定ができません。土地や建物を購入する場合には売買契約、建物を工事させる場合には請負契約、建物を借りる場合には賃貸契約をします。
この場合ほとんど業者が印刷作成した書式で内容も標準的になっていますが、大切なことは案件ごとに事情が異なる点です。業者は案件の良い面ばかり強調しがちですが、説明はすべて書類で受けるようにし、説明を受けた内容や約束させた事項はメモ書きでもよいので契約書約款の特約事項に追加します。納得して取り交わしましょう。
一般的に川や沼、葦の生えている近くは地盤が悪いことがあります。傾斜地に盛土し平らに造成した敷地の場合も要注意です。また、住所や地名からそれらが推測できる場合もあります。
例えば、地名に津や沼は湿地を、田や江が付く場合は干拓地や入江を表し、水に由来する船や堀、堤など、このような地名が含まれるところは地盤が弱いのではと疑う必要があります。
ほかに地盤を知る手がかりとしては、
①近所の建物の壁や基礎にひび割れがないか。
②ブロック塀がひび割れていたり傾いていないか。
③道路に亀裂や波打ちがないか
④敷地内の地面に穴やひび割れがないか。
⑤雨の翌日、地面の水はけが悪くないか。
いくつか当てはまるなら専門家に見てもらうか、地盤調査が必要です。
「土地や建物を購入しようとする際、近年はインターネットで物件検索される方が多くなりました。購入決定には現地調査が必要不可欠です。
まず物件を紹介している業者に面談して現地を案内してもらい、物件状況をチェックしてください。そして主要施設へのアクセスも自分で確認を。
また休日や祝日だけに現地を訪れるのではなく、平日にも足を運び、生活空間を体験することも大切です。
現地を確認した後、十分に検討し、購入の意思を固めたら、不動産業者との交渉に入ります。
不動産取引は、権利関係や取引条件が複雑な上、高額な商行為であり、専門的知識(法律関係や履歴調査等々)の説明を受ける必要も。一番重要になるのが、売買契約締結前に不動産業者の宅地建物取引主任者から受ける『重要事項説明』(宅地建物取引業法第35条に基づく)です。内容は大きく分けて下記の3つ。
①「不動産権利」に関する事項
②法令上の制限を中心とする「不動産の状況」に関する事項
③「不動産の売買契約」に関する事項
特に②には・・・
「買い主の判断に重要な影響を及ぼすことになるもの」(同法第47条、47条の2に規定)についての説明です。
不動産業者には、この「買主の判断に重要な影響を及ぼすことになるもの」を必ず買主に説明(告知)する義務があります。少し表現が難しいのですが、具体的には下表のような事柄です。
ただ、これらには、調査してもわからないことや判断が難しいものもあり、プロである不動産業者でも確認には苦労しています。
購入を検討している人は自ら、業者に表のような質問をすることが必要ですし、現地へ赴き何度でも確認することが必要です。また近年は不動産業者も、売主等でしか分からない土地や建物の履歴、周辺の状況等について売主等の協力を得て”告知書”を作成して買主に渡すこともしているので、それを求めるのもいいでしょう。
取引をする際にその事柄を業者が告げないことによって、買主等が重大な不利益を被る恐れがある事項-これはまさに”重要な事項”です。賢い消費者になるためにも、よく確認してください。
「住宅が完成し、引き渡される前に、設計図通りに施工されたかを建築士などの専門家にチェックしてもらうと良いでしょう。使って初めて分かることもたくさんありますので、完成が近づいたらできるだけ現場へ通い、暮らしの実際を想定して動いてみて下さい。使い勝手に無理を感じたら、ささいなことでも早い目に施工者に相談するといいです」
最近は住宅設備機器も多様化し、機能が充実した分、操作などが複雑になっているので、「『取扱い説明』はできれば家族全員で参加し、十分に納得ができるまで説明を求めることです」とも。
外回りの排水処理や給水栓の場所なども見落とさずに確認を。
「施主と施工にかかわった人たちは、お互いに感謝を忘れないでほしいですね。『いい仕事をしていただいてありがとう』の心で・・・」
「住まいづくりは、引き渡しを受けて終わりというものではありません。人や車と同じく、定期的な診断と適切なリフォームをすることで、長くすむことができます」
リフォームは、生活の変化への対応、住宅の機能アップなどを目的とした、増改築、修繕、改修、設備の更新・新設などがあります。しかし、最近は、契約のトラブルや悪質な業者による被害が多発しています。 トラブルや失敗を防ぐためには、不安をあおるような営業や、『モニター大幅割引中』といった広告に騙されないこと。
大切なのは、①複数の業者から見積もりを取るなど、業者選びを慎重に ②小規模な工事でも必ず書面で契約 ③工事の追加・変更は本当に必要かよく話し合う ④業者と共とも工事完成後の確認をきっちりする、などがポイントです。
協議会では、住まいの関する相談を年間を通じて行っています。相談内容で多い順に挙げると
①室内の壁紙の亀裂やカビ、品質について
②外壁やルーフバルコニーからの雨漏り
③リフォーム工事への不満
④床鳴り、床のたわみに関する相談
⑤外壁のヒビ割れ・塗装の変色について、
⑥基礎のヒビ割れについて、
⑦着工前のリフォーム相談
⑧補助金、給付金の説明
⑨住まいの耐震性に関すること、
⑩建具の建て付けが悪い・建具が重いことについて、
⑪業者の見積もり内容について
⑫悪質訪問業者による床下補強工事や屋根リフォーム工事について、でした。
その他では、柱、梁(はり)の乾燥によるヒビ割れの音について、完成建物の引き渡し遅れについての相談もありました。
同協議会では、住まいの安全・安心対策部会員が専門的知識や経験を生かして住宅相談に対応しています。
住まいに関する相談があれば、気軽にご連絡をください。
滋賀県内には多くの活断層が存在し、特に琵琶湖西岸断層帯については、今後30年間に震災が発生する確率が高いとされています。地震被害をなくすことはできませんが、小さくすることは可能です。
昭和56年5月以前に着工され完成している木造住宅には、現在の耐震基準合わず、想定されている地震により倒壊する恐れがあり、自分自身の命と財産を守るためには、わが家が地震に耐えられるかどうかを調査するとともに、その調査結果に応じ倒壊しない住まいへと補強を行う必要があります。
滋賀県では、昭和56年5月着工以前の木造住宅について、無料で診断員を派遣し、耐震診断の実施、結果を基に補強案・概算書の作成を行っています。また改修工事を行う場合は補助制度を設けています。
お問い合わせは、住まいの市や町の建築担当窓口へ。
また、同協議会でもアドバイスを無料で実施しています。
住まいの屋根といっても多種多様です。
これまでの日本の生活になじみの深い屋根材といえば「瓦」。瓦といっても、燻し瓦に色瓦、銀黒瓦に洋風瓦。その形も平瓦にのし瓦、鬼瓦に軒瓦と様々な種類があります。
また瓦に代わる屋根素材として鋼板(鉄板)葺きであったり、スレート瓦など家の屋根材には、いろいろと種類があります。屋根の形状にも、切り妻に入母屋、陸屋根に寄せ棟、片流れなど形もいろいろ。
そこに、雨水を流すための傾斜(勾配)がつけてあり1メートルに20センチ下がったり、40センチ下がったりと・・・。屋根の材質や形状、勾配、色など組み合わせ家の屋根はできています。
近年は環境問題への注目が高まっていることもあり、家づくりにおいても”地球環境に優しい”というコマーシャルメッセージをよく目にします。
それらの”優しい”といわれる工法や建築材料(設備機器を含む)を使って家を建てた場合-省エネルギーや光熱費の節約につながって「家計が助かる」という点が評価されがちです。でもこれは”見える部分”。建築材料を製造・運搬する時のエネルギー消費は、”見えない部分”として気づきにくいことが問題です。
一概に建築工事といっても、その工程や材料は多岐にわたっています。
基本的に、化石燃料などのように大規模な加工を必要とする材料や、輸入品のように運搬時の費用や燃料がかさむ材料は、本当の意味で、”地球や環境に優しい”といえないのかもしれません。
人それぞれに好きな色があって、その色に囲まれ日々お暮らしのことでしょう。
まさに「十人十色」といわれるように、それぞれ好みの色もそれぞれ違います。自分の好みに合った色彩に囲まれた生活は、本当に夢の世界ですよね。
最近になって、室内の色彩はそれぞれの好みで良くても、屋外の町並みには、統一性が求められるようになり、景観に対する意識が大きくなってまいりました。
個人の好みで色彩や建物の形状を勝手に造っては、景観の統一性が無くなり、町並みや地域環境が乱れてしまいます。また地域環境が乱れれば、そこに住まう住民どうしの感情も怪しくなり、住民意識が希薄な住みにくい地域となってしまう可能性もあります。
建て替え等の場合は極端な色調は避けて、出来る限り従来から存在する色彩に合わせた方が少しは無難ではないでしょうか?建物の外観はまちを形成する景観の一部であり、地域住民の共有物でもありますので・・・。